商標登録が認められない商標とその例

公の秩序又は善良の風俗を害するおそれがある商標

暴力的、猥褻的、差別的な要素を含む商標がこれに当たります。他にも国家資格等と誤認を生ずるおそれのある商標、歴史上の人物名からなる商標、国等と関連する組織又は団体であると誤認を生ずるおそれがある商標などが該当します。

既存の商標との混同を招く商標

他者の既存の商標や名前と混同しやすい商標は登録できません。これは、消費者が商品やサービスの出所を間違える可能性があるためです。既に市場で知られているブランド名やロゴに似た商標は、この基準に違反する可能性が高いです。また、商品等の出所の混同するおそれのみならず、他人と経済的・組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品等であると誤認する商標も登録できません。

商品やサービスの品質や性質に関する誤解を招く商標

商品やサービスの品質や性質に関して誤解を招く可能性のある商標も登録が認められません。例えば、「エコ」や「オーガニック」といった言葉を含む商標が実際の商品の性質と異なる場合、「LONDON」の言葉を含む商標を「ロンドン製の商品」以外の商品に使用する場合も、この基準に反するとされることがあります。

商標審査の主要なポイント

識別力の要件

商標は、特定の商品やサービスを他者のものと区別する能力が必要です。一般的な用語や記述的な表現からなる商標は、識別力が不足していると判断され、登録が拒絶されることがあります。商標の識別力については、審査基準で詳しく説明されています。

個別的登録要件

識別力はあるが公益や私的利益の保護の観点から、登録不可と判断される要件が審査基準に記載されています。例えば、上記したように、公序良俗に反する商標や他人の商標と類似する商標などが該当します。

拒絶理由とその対処法

登録不可の理由がある場合、審査官から拒絶理由が通知されます。商標登録出願人は意見書提出や指定商品役務(役務とはサービスのことです)の補正を行い、対応することができます。審査官は、拒絶理由が解消されたかどうかを判断します。

効果的な商標登録出願戦略

適切な商標の選定

商標を選ぶ際には、上記の審査基準を考慮し、他の商標と区別がつき、誤解を招かない独自の商標を選ぶことが重要です。

出願手続の理解

商標出願の手続を理解することは、効率的かつ適切な商標登録に不可欠です。出願手続で重要なことは商標及び指定商品役務の選択ですが、指定商品役務の属する類の選択、必要書類(願書の他に「商標の詳細な説明」や「指定商品(指定役務)の説明書」などを提出することがあります)の準備、出願料の支払いなどが含まれます。特に、商標が使用される商品や役務の範囲を正確に指定することが重要です。

拒絶理由への効果的な対応

拒絶理由通知を受けた場合、専門家(弁理士)への相談が推奨されます。弁理士は審査基準に精通しており、拒絶理由への効果的な対応策を提案できます。また、必要に応じて意見書や手続補正書の提出をサポートし、商標登録の成功率を高めることができます。

この記事の監修者

八谷 晃典 (はちや あきのり)
大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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