商標出願の際には、45の区分から、商標を使用する目的に合わせて区分を正しく選択することが、商標登録の成功へつながります。しかし、区分を正しく選択するためには、区分への理解と実務経験が必要です。本記事では、区分の正しい選び方等をご案内いたします。」

本記事について

この記事では、商標登録の成功のために不可欠な、区分の選択方法について詳細に解説しました。具体的には、「区分」についての基本から、適切な区分を選択することの重要性、さらには間違いやすい区分とその対処法に至るまで、実践的なアドバイスを提供しました。また、「知識の教授」などの複雑な区分の理解や、類似群コードを使った類似関係の分析など、商標登録の際に陥りがちな落とし穴を明らかにし、これを回避する方法を提案しています。

商標登録の区分と適切な選択方法

商標登録の区分とは?

1. 商標登録区分の基本的な理解

商標登録における「区分」とは、商品・役務を一定の基準によってカテゴリー分けしたもので、第1類~第45類まであります。区分について正確に理解することは、商標の権利化のために必要な第一歩です。

2. 45の区分に分けられた商品とサービス

区分は第1類~第45類に分けられており、これらは商品(第1類から第34類)とサービス(第35類から第45類)に大別されます。各区分にはそれぞれ異なる商品やサービスが含まれ、例えば、第1類は化学品、第15類は楽器、第35類は広告業などが含まれます。

3. 自社商品・サービスに適した区分の選択方法

自社の商品やサービスに適した区分を選択するには、自社が提供している商品やサービスの性質を詳細に検討する必要があります。この過程で、類似商品・役務審査基準や類似群コードを参考にすると、より正確な区分を特定しやすくなります。

区分選択の重要性と間違いやすいポイント

1. 正しい区分の選択がなぜ重要なのか

正しい区分を選ぶことは、商標の権利化のために不可欠です。間違った区分を選択すると、審査において拒絶される可能性が高まり、さらには商標権の侵害リスクも増加します。正確な区分の選択により、商標の保護範囲を適切に定めることができます。

2. 間違いやすい区分とその例

間違いやすい区分の一つに、「知識の教授」が含まれる第41類があります。一見すると、第41類には幅広いサービスが含まれるように思えますが、実際には特定の種類の情報提供サービスのみが該当します。たとえば、「学習塾における教授」等が第41類に該当します。一方その他の種類の情報提供サービス、例えば、「ファッション情報の提供」は第45類、「税務相談」は第36類に分類されます。

3. 「知識の教授」が含まれる区分、第41類を指定する際の注意点

第41類を選択する際には、自社が提供している情報がその区分に本当に適合しているか慎重に検討する必要があります。この区分は情報提供サービスに関連するものですが、全ての情報提供サービスがこの区分に当てはまるわけではないため、細心の注意が必要です。

区分選択の実践的なアドバイス

1. 複数区分の選択とそのリスク

貴社が多岐にわたる商品やサービスを提供している場合は、複数の区分を選択することが必要です。しかし、必要以上に区分を複数選択すると、審査にかかるコストが増加し、結果的に不要な区分でのみ登録が認められるリスクも伴います。各区分の選択は、商品やサービスの本質と市場での使用方法に基づいて慎重に行うべきです。

2. 類似商品・役務審査基準の活用

類似商品・役務審査基準は、自社の商品やサービスがどの区分に当てはまるかを判断する際に非常に有用です。類似商品・役務審査基準を参照することで、同じ区分内の異なる商品やサービスがどの程度類似しているかを理解し、適切な区分を選択しやすくなります。また、類似群コードを用いて、類似する商品間の関係をさらに詳細に分析できます。

3. 類似群コードによる類似関係の理解

類似群コードは、数字とアルファベッドの組合せからなるコードです。類似群コードについて理解することで、商標登録の際に他の類似商品やサービスとの関係を把握しやすくなります。たとえば、異なる区分に属する商品でも同じ類似群コードを持つ場合、それらは審査において類似していると推定されます。このため、類似群コードは、商標審査に大きな影響を及ぼすことがあります。 特許事務所に商標出願を依頼した場合は、専門知識と実務経験の豊富な弁理士により、区分の選択に関してもアドバイスがもらえます。これにより、出願人は商標登録における重要なポイントをより明確に理解し、安心して商標出願ができます。

この記事の監修者

八谷 晃典 (はちや あきのり)
大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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