アメリカにおける商標登録について

アメリカ合衆国にて商標権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載し解説しております。
 本ページが、お客様が海外で知財保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立て下さい。

※<アメリカ商標出願から登録までの期間目安> ※2023年8月時点
・出願から登録されるまでの期間は、14.6ヶ月が見込まれます。

アメリカにおける商標権

A.商標登録(連邦商標登録)の対象について

(1)商標の種別

1)商品商標
2)サービスマーク(役務商標)
3)団体商標
4)証明商標

(2)出願可能な商標の保護対象

アメリカの商標法上の解釈では、あらゆる言葉、名称、シンボル、文字、数字、スローガン、紋章、模様、図案またはこれらの組合せを始め、以下のとおり特殊な種類の商標も登録可能です。

  • Three-dimensional [3D] mark (立体商標)
  • Sound mark (音の商標)
  • Motion mark (動きの商標)
  • Color mark (色彩のみからなる商標)
  • Position mark (位置の商標)
  • Hologram mark (ホログラム商標)
  • Olfactory mark (香りの商標)
  • Touch mark (触覚の商標)
  • Taste mark (味覚の商標)
  • Trade Dress (トレードドレス)

B.使用主義

(1)登録主義と使用主義

日本では、商標を登録することによってはじめて商標権が発生する「登録主義」が採用されています。一方、アメリカでは、商標を使用することのみによって商標権が発生する「使用主義」の制度が採られています。

  • 使用主義を採用していることにより、商標を登録せずに使用しても、その使用地域でコモンロー上の権利が発生します。一方、例え商標登録していても、一定期間登録商標を使用していないと権利放棄とみなされてしまいます。
  • 原則、出願~登録までの間に、真正な使用の証明を提出しなければ登録が認められません。

(2)アメリカ商標法における「使用」の定義

「取引上における使用 (Use in Commerce)」:通常の商取引の過程における標章の真正な使用であって、単に標章についての権利を留保するために行われるものではないもの(商標法第45条(15 U.S.C. §1127))

取引において、商品に商標を付すこと、または商品との関連で商標を使用することをいい、広告的使用(商品/包装と物理的に結合していない使用)は、商品の場合使用に該当しません。サービスマーク(役務商標)は、広告的使用によっても商標を使用したと判断されます。

(3)使用宣誓書を提出するタイミング

商標権を維持する為には、当該商標を継続して使用することと、その証拠・宣誓書(affidavit)をUSPTOに提出しなくてはならなりません。

◆使用宣誓書(第8条) [=§8 affidavit]

  • 日本の商標を基礎とした出願以外は、登録時「使用宣誓書(Statement of Use)」の提出が必須となります。またその後登録から5~6年目の間、10年毎の商標権更新手続の際に、使用宣誓書を提出する必要があり、最初の更新までに合計3回の使用証明の提出が必要です。
  • このように使用宣誓書を何度も提出させることで、アメリカ商標法の原則である「使用主義」の徹底が図られています。

◆商標権の不可争性についての宣誓書(第15条) [=§15 affidavit]

  • アメリカ商標登録後5~6年目の間には、「商標権の不可争性についての宣誓書(第15条不可争宣誓書)」の提出が可能です。上記の5~6年目の第8条使用宣誓書と同時に提出することで、手続負担や費用を低減することができます。

C.商標出願について

商標出願はUSPTO(米国特許商標庁)に対して行います。米国に居所を持たない出願人(個人・法人等)が商標に関する手続きを行うためには、米国で資格のある弁護士を代理人とすることが必要です。

また、例えば以下のような商標は登録できないとされています。

  • 記述的な表示、機能的な表示(商品の特徴や品質等の説明)、地理的表示、一般名称等
  • 不道徳、欺瞞的、中傷的な商標
  • アメリカ合衆国、アメリカの州や自治体、または外国の旗章や紋章を含む商標
  • 地理的名称を示す商標
  • 特定の個人等を示す名称を含む商標、苗字にすぎない商標
  • 他人の商標と類似する商標(他人の商標と出所混同を生じるおそれがある商標)

(1)出願

出願の際は、以下の書類を準備する必要があります。

  •  Drawing(商標見本)※標準文字の時は不要
  •  Description of goods and services(区分、指定商品/役務の記載)
  •  Applicant's name and address(出願人氏名/名称)
  •  Filing Basis(出願の基礎情報)
  •  Government fee(USPTO出願費用)

(2)分類(商品または役務)

アメリカの審査では、商品/役務の表示について具体的な記載を要求されます。日本商標のような包括的な表記ではなく、それぞれ具体的な表記/下位概念にして出願することが必要です。


(例:「上位概念, namely, 具体的商品名称」といった表記。
「namely」の他には、「consisting of」、「particularly」、「for use in」などが認められるようです。)

(3)審査~登録

USPTOの審査官が登録できないと判断した場合は、拒絶理由が通知されます。その応答期間は3ヶ月(+3ヶ月の延長が一回可能)です。

審査の結果、登録できると判断された場合は公告され、第三者に異議申立の機会が与えられます。

異議申立期間中に申立てがなかった場合や、された場合でも不成立の場合は、商標が登録されます。

「使用意思に基づく出願」は、登録許可通知の発行から6ヶ月以内(延長可)に使用宣誓書等を提出することで登録されます。

(4)存続期間

以下の通りです。

  • 登録日から10年間
  • 10年ごとの更新可
  • 更新期限を徒過した場合でも、6ヶ月の猶予期間がある。

(5)その他の注意点

連邦商標登録である主登録の他に、補助登録という制度が存在します。例えば、記述的な表示として主登録が拒絶されたとしても、補助登録に切り替えることで、主登録と違い与えられる権利は限定されるものの、一定の保護を受けることができます。補助登録を受けるためには、現実の使用に基づく出願か、もしくは、外国登録に基づく出願であることが必要です。

商標を使用しない期間が3年間続いている場合は、第三者が不使用取消審判を請求することで商標登録が取消される可能性があります。

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    この記事の監修者

    八谷 晃典 (はちや あきのり)
    大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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