台湾における商標登録について

台湾における商標出願⼿続は、⼀般的に、出願、⽅式審査、実体審査、登録査定、公告の順で進められます。

存続期間は登録公告の日から10年であり、10年毎に何度でも更新可能です。 パリ条約およびマドリッド協定には加盟していないため、台湾に直接商標出願する必要があります。一方で、WTOには加盟しているので、日本出願を基礎とした優先権主張は可能です。

<平均的な審査期間>
出願から約8か月程度で登録査定又は拒絶査定となります。

1.出願

(1)出願に必要な書類

 ①願書
 ②商標見本
 ③委任状
 ④優先権証明書(優先権主張出願する場合のみ)

(2)保護対象

以下の定義に当てはまるものであれば、商標として保護されます。

「何らかの識別性を有する標識であり、文字、図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音等、またはその組み合わせにより構成されるもの」

(3)出願の言語

出願言語は中国語(繁体字又は簡体字)です。

(4)商標内の文字の扱い

外国語の⽂字であっても、その含意が指定商品または役務の慣⽤名称または関連説明である場合、識別性を有しないと判断されます。

出願商標の図案が外国語の⽂字からなるまたは外国語の⽂字を含む場合、出願⼈は願書の商標図案分析欄に⾔語の種類およびその中国語の字義を記載しなければなりません。

2.方式審査

主に書類の様式、申請⼿数料などの確認が⾏われます。方式上の不備がなければ、願書を提出した⽇が出願⽇として認定されます。

3.実体審査

識別性の有無、先願登録商標との同⼀・類似、品質誤認の有無、公序良俗違反の有無など、登録を受けることができない商標に該当しないかについて審査されます。これらの登録要件を具備しない場合は、拒絶理由が通知され、意⾒書で反論する機会が与えられます。

なお、指定商品や役務の減縮等の補正や出願の分割は、拒絶査定がなされる前まで⾏うことが可能です。

コンセント制度(※)も採用されています。

 ※)先行登録商標に類似するため登録が認められないと判断される場合であっても、当該先行登録商標の商標権者が同意すれば出願商標の登録を認める制度。

4.登録査定~公告

登録査定書送達の翌⽇から2か⽉以内に、登録料を納付することによって、商標登録および公告がなされ、商標登録証が交付されます。2か⽉以内に納付できない場合でも、未納付が故意でなければ、6か⽉以内に2倍の登録料を納付することにより、救済されます。

5.拒絶査定不服

拒絶査定に不服がある場合は、経済部訴願審議委員会に訴願を提起することができます。 拒絶査定不服に関する判断の結果(訴願を棄却)に対して、さらに反論したい場合は、⾏政訴訟の提起や、最⾼⾏政裁判所(最終審)に上告を提起することが出来ます。

6.異議申立

登録公告⽇から3か⽉以内であれば、誰でも異議申⽴が可能です。異議決定がされれば、異議理由が存在すると認められた指定商品や役務のみが取り消されます。

7.無効審判

利害関係⼈または審査官は、商標無効審判を請求することができます。無効理由としては、例えば「商標の登録に関して商標法第29条第1項(識別⼒)、第30条第1項(⼀般の登録要件)、もしくは第63条に違反すること」があります。 無効審判の請求の期間については、商標権の設定登録後であれば、原則としていつでも可能です。ただし、⼀部の無効理由については除斥期間の定めがあり、こうした無効理由に基づく審判請求については、商標権登録公告⽇から5年以内に⾏うべきであるとされています(悪意で⾏う場合には除斥期間の適⽤を受けない場合あり)。

8.不使用取消

登録商標を取り消すべき事由があるとき、何⼈もいつでも台湾知的財産局に取消審判を請求することができ、また台湾知的財産局も職権により登録を取り消すことができます。最も多い取消事由は、登録後に正当な事由なく未使⽤または継続して3年間使⽤していないことです。

商標権者が、他⼈が不使⽤取消審判を請求しようとすることを知ってから使⽤を開始する、いわゆる「駆け込み使⽤」を防ぐため、不使⽤取消審判が請求される前の3ヶ⽉間の使⽤は、商標の使⽤として認められないとされています。

9.その他の商標取消制度(その他の審判)

登録商標を取り消すべき事由(商標法第63条第1項)があるとき、何⼈もいつでも台湾慧財産局に取消審判を請求することができ、また台湾智慧財産局も職権により登録を取り消すことができます。主な取消事由は以下の通りです。

(a) 商標権者が⾃ら商標を変更し、または付記を加え、当該取消審判請求時に取消対象とされた商標(即ち、係争商標)と他⼈が使⽤する同⼀または類似の商品または役務を指定する登録商標(即ち、根拠商標)と同⼀または近似となり、関連消費者に混同誤認を⽣じさせるおそれがあるとき。

(b) 商標法43条の規定に基づいて適切な区別を付けていないとき。

(c) 商標が指定する商品もしくは役務の通⽤名称となっているとき。

(d) 商標を実際に使⽤するとき、その商品もしくは役務の性質、品質または原産地について公衆に混同誤認を⽣じさせるおそれがあるとき。

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    この記事の監修者

    八谷 晃典 (はちや あきのり)
    大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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