はじめに

主に独自の技術や商品で急激な成長を遂げる企業を総称して「ベンチャー企業」と呼ばれます。

ベンチャー企業の成長に必要なものは、独自の視点・発想力や革新的な技術と様々ではございますが、技術に優れた商品や、革新的なサービスについて、何らかの「名称」が必要となります。そして、この名称を安心して使用し続ける権利は、商標登録を行うことにより初めて 獲得できます。

これは、世界中の国々で商標制度が存在している今日においては、日本のみならず世界の共通認識となっていると言えます。

ベンチャー企業の皆様においては、世界を見据えた事業展開をされることも多いものと思いますので、是非一度「商標登録」の必要性について御検討頂ければ幸いです。

商標登録は「自動車保険」

車の運転を行うためには、「運転者」「車」「運転免許」の3つが必要となります。会社の事業に例えると、「運転者」は「会社代表者」、「車」は「組織」、「運転免許」は「登記」等の法的資格と置き換えられるでしょうか。さて、車の運転にはもう1つ重要なものがあります。それは、万一の交通事故に備えた「自動車保険」への加入がそれにあたります。

商標登録とは「自動車保険」と同じような性質を持っています。たとえ運転者が『車の運転には自信がある』『性能のいい車だから事故は起こりにくい』と思っていても、交通事故とは自分の意思に関係なく、偶発的にも必然的にも起きてしまうものです。交通事故により、車を運転することは出来なくなり、場合によっては相手方に損害賠償をし、更に最悪のケースでは、運転者や同乗者までもが逮捕されることになります。

商標登録を行わない場合の事業の「運転」も同じです。商標権侵害により商標の変更を余儀なくされるだけでなく、侵害行為によって会社の信用が失われれば、事業のストップを余儀なくされ、更には相手方に生じた損害を賠償する責任があります。そして、最悪のケースでは、商標権侵害で逮捕される可能性もあります。

ベンチャー企業の皆様において、急速な企業の躍進に必要なのは、第一義的には独自の革新的な商品やサービスかもしれません。しかしながら、その躍進の過程で『商標登録を行わなかった』ことが唯一の原因で、一気に企業としての信用が失墜する可能性があることを御認識頂ければ幸いです。

海外商標出願には助成金があることをご存知ですか?

海外商標出願を行う出願人(申請人)に対して、特許庁や各地方公共団体から一定の額の助成金が出ることはご存知ですか?毎年一定の予算の範囲内で、外国への事業展開等を計画している中小企業に対し、外国出願にかかる費用の一部を補助する制度がございます。

平成25年度の補助金概要

  • 補助金限度額:2分の1以内 ※外国特許庁への出願料や、国内・現地代理人費用、翻訳費等
  • 上限額:
    1企業に対して300万円まで(複数案件の場合)
    1案件毎の上限額:意匠・商標60万円(但し、冒認対策商標については30万円まで)

※冒認対策商標:第三者による抜け駆け出願(冒認出願)の対策を目的とした商標出願
(出典:特許庁HP内「平成25 年度 地域中小企業知的財産戦略支援事業費補助金」より抜粋)

上記の他、東京都や沖縄県など一部の自治体では、独自に費用の一部を補助する支援制度を設けているところもございます。これらの補助金申請には一定の申込用紙を提出する必要がありますが、補助金の利用者は大変多く、毎年補助金の予算上限に達した段階で受付は締め切られますので、お早目の申請をお勧めしております。

”HARAKENZO moreはベンチャー企業の皆様を応援します

ベンチャー企業は日本の技術競争力の向上に大きく貢献する企業であり、特許庁も「中小・ベンチャー企業のための知財支援ガイド」を公開し、幅広く中小企業やベンチャー企業を支援する活動を継続的に行っております。

”HARAKENZO more としてもベンチャー企業の皆様の知的財産保護にお役立ちしたいと考えており、2013年9月より中小企業支援室を創立し、積極的にベンチャー企業の皆様を応援していく体制を整えております。まずは、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

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この記事の監修者

八谷 晃典 (はちや あきのり)
大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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