ここでは、商標をマドプロ出願で国際登録する際、実際に行われる手続の詳細について解説します。

<『マドプロ』って何?>のページで、マドプロという制度の全体的な概要をご紹介していますので、あわせてご参照ください。

なお本解説は、日本国特許庁(JPO)を本国官庁として国際出願を行う際の手続についてのものとなります。

A.日本での基礎登録または基礎出願

マドプロ出願を行うためには、その基礎となる国内登録商標または国内商標出願が必要です。

B. 必要書類

ⅰ)願書

国際登録願書(MM2)という公式の様式を提出します。

【特許庁:マドリッドプロトコルによる商標の国際登録出願の願書等様式】

https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/yoshiki/gansho.html

*【参考】特許庁:国際登録出願の手続様式集 (pdfファイル)

https://www.jpo.go.jp/system/trademark/madrid/tetuzuki/document/madopro-jitsumu-text/madopro-jitsumu-mm2.pdf

ⅱ)本国官庁への手数料貼付書面

願書とは別に、特許印紙(9000円)を、提出日・件名等を記載した書面に貼り付けて提出します。

※米国(US)を指定する場合には、出願時に「標章を使用する意志の宣誓書」(MM18)を願書とともに提出しなければなりません。

※国際登録出願のOfficial FeeはWIPOに直接支払います。

ⅲ)言語

マドプロの言語は3ヵ国語(英語・フランス語・スペイン語)ございますが、日本国特許庁を本国官庁とするため、英語のみ使用することができます。日本語は使用できません。

C.本国官庁(日本国特許庁)での方式審査

原則として、本国官庁である日本特許庁が願書を受理した日が国際登録日であり、これは日本国内の出願における「出願日」に相当します。

日本国特許庁では、次の要件を満たしているかが審査されます。

ⅰ)登録商標及び登録名義人(または出願中の商標及び出願人)の同一性
ⅱ)指定商品・役務の同一性
ⅲ)標章の同一性 (*厳格に要求され、同縮尺での大きさの相違のみ認められます。)

これらを満たしていないまたは記載事項に不備がある場合には、本国官庁から方式不備について通知がなされ、出願人は通知から14日以内に補正をして対応することができます。

D.国際登録・国際公表

WIPO(国際事務局)によって書類等の方式審査が行われ、欠陥が見当たらなければ、国際登録番号が付与され、国際登録簿に登録されます。

その後、国際登録されたことが国際標章に関するWIPO公報で公表されます。

E.指定国特許庁への領域指定の通報

国際登録が完了すると、保護を求める国(指定国)に指定された旨が通報され、各国にそれぞれ個別に出願した場合と同様に扱われます。

商標が国際登録されたとはいっても、まだ指定国で権利は発生せず、現地の法令に従って審査が行われますので注意が必要です。

F.各指定国での実体審査

WIPOから指定を受けた各指定国は、それぞれの国の法令に従って商標を審査します。

もし拒絶の理由が発見されれば、各指定国の特許庁は、E.の通報日から1年(若しくは18ヵ月)以内に暫定拒絶通報を行わなければならないと定められています。

したがって、その期間内に通報がない、もしくは期間内に保護認容声明がなされた、または上記の拒絶理由が解消された場合には、保護が認められ権利が発生することになります。

国際登録による商標権の存続期間は、C.の「国際登録日」から10年間です。

G.商標権の更新・管理

WIPOによって国際登録簿で一元管理されているため、すべての指定国の商標権更新を一括で行うことができますので、権利管理の負担が少ないといえます。

≪参考:直接出願との対比≫

特許庁: “商標の国際登録制度活用ガイド”より

この記事の監修者

八谷 晃典 (はちや あきのり)
大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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