EU
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1.はじめに
EUにて商標権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載しております。
本ページが、お客様が海外で知財保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立て下さい。
<平均的な審査期間> ※2018年3月時点
出願~登録:およそ4~6ヶ月(ただし、異議申立がされなかった場合。「2.EUにおける商標権」で詳しくご説明します。)
本記事関してご質問事項等がございましたら、TELまたはEメール(法務部宛)、もしくはHP上のお問い合わせフォームからご相談を受け付けております。是非お気軽にお問い合わせ下さい。
2.EUにおける商標権
(1)権利の及ぶ国
現在27カ国の欧州連合加盟国を「一地域」として扱い、1つの出願でこの地域全体に商標権が及びます。それが、「欧州連合商標」(EUTM)です。かつては、欧州共同体商標(CTM)と呼ばれていました(2016年3月に改称)。
2020年時点での欧州連合加盟国は、「ベルギー、ブルガリア、チェコ、デンマーク、ドイツ、エストニア、アイルランド、ギリシャ、スペイン、フランス、クロアチア、イタリア、キプロス、ラトビア、リトアニア、ルクセンブルク、ハンガリー、マルタ、オランダ、オーストリア、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、スロベニア、スロバキア、フィンランド、スウェーデン」(27カ国)です。
加盟国が拡大される際には、追加の手続や手数料なしで、自動的に新加盟国にも権利が及びます。
また、27カ国を「一地域」と扱うため、加盟国のうち特定の一部地域のみに権利範囲を限定することはできません。
BREXITに関する主な注意点
ご承知のように、2020年1月31日に英国がEUから離脱することが決定され、2020年12月31日までが移行期間となっております。
1 移行期間の終了時点(2020年12月31日)で登録済、権利存続中の欧州商標(EUTM)
・自動的に同等の英国登録商標が作成、付与される。別途の手続、費用は不要。
・欧州商標(EUTM)は以下に注意。
(1)移行期間の経過後に更新期限を迎える欧州登録商標(EUTM)
■欧州登録商標(EUTM)を更新しても更新期限後の欧州商標(EUTM)には英国が含まれない。
■英国登録商標の更新を希望する場合は、欧州登録商標(EUTM)の更新手続とは別に英国登録商標の更新手続が必要。
(2)商標使用の証明
EU、英国共に不使用取消の対象となる期間は5年。当該5年期間が離脱日(2020年1月31日)をまたぐ場合は下記に注意。
■離脱前の欧州連合(英国を含む)での使用は、欧州登録商標および英国登録商標の使用として考慮される。
■離脱後の英国での使用は、英国登録商標の使用として考慮されるが、欧州登録商標の使用として考慮されない。
■離脱後の欧州連合での使用は、欧州登録商標の使用として考慮されるが、英国登録商標の使用として考慮されない。
2 移行期間の終了時点で出願係属中の欧州商標(EUTM)
・移行期間の経過後は欧州出願に英国が含まれない。
・英国での権利化を希望する場合は、英国出願が必要。
・移行期間の終了時から9ヶ月(2021年9月30日)以内であれば欧州出願日を主張し英国に再出願が可能。
3 移行期間の経過後に出願する欧州商標(EUTM)
・欧州出願に英国が含まれない。
・英国での権利化を希望する場合は、英国出願が必要。
ご不明点・ご質問等がございましたら、当所まで遠慮なくお問い合わせ下さい。
(2)出願~登録手続の流れ
EUTMの登録手続は、主に3つの審査段階があります。
(a) 方式審査、絶対的拒絶理由の審査
・出願書類に不備がないか、指定商品/役務の区分がふさわしいか(権利化を希望する指定商品/役務について、明確かつ正確に記載することが望ましい。)
・絶対的拒絶理由(出願された商標自体に、登録できない理由がないかの審査。識別力の有無など。)
EUTM出願では、相対的拒絶理由(出願された商標が、他人の先行商標と比べて同一又は類似であるか否かの審査)が通常は審査されないという特徴があります。第三者から異議申立があった場合にのみ相対的拒絶理由が審査されます。
(b) 公告
上記(a) の審査終了が公告されます。
(c) 異議申立期間
上記(b) で公告された商標と同一又は類似の先行商標を持つ第三者は、公告日から3ヶ月以内に異議を申し立てます。異議申立の結果が出願人に肯定的だった場合、あるいは異議申立がされなかった場合、EUTMは登録となります。
(2021年9月7日更新)
以上