台湾(中華民国)
1.はじめに
台湾(中華民国)にて商標権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載しております。
本ページが、お客様が海外で知財保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立て下さい。
<平均的な審査期間>
出願から約8か月程度で登録査定又は拒絶査定となる。
本記事関してご質問事項等がございましたら、TELまたはEメール(法務部宛)、もしくはHP上のお問い合わせフォームからご相談を受け付けております。是非お気軽にお問い合わせ下さい。
また、本記事の他に、当所作成の「台湾(中華民国)」の商標に関する資料もございます。
「〠サンプル」
上記の形式で資料配布しておりますので、こちらの資料の詳細版をご希望の方はお気軽にご連絡下さい。
2.台湾の商標制度
(1)出願ルート
WTO加盟国であるため、日本商標出願に基づく優先権主張が可能。
※マドプロ未加盟
(2)出願言語
中国語(繁体字)
(3)商標の種類
文字、図形、記号、色彩、立体形状、動態、ホログラム、音など、又はその結合
※位置、匂いなどの非伝統的商標も保護される。
※防護標章制度、連合商標制度は1998年の改正により廃止された。
※一出願多区分制度を採用(商標出願の分割、商標権の分割制度も採用)
(4)保護対象
一般商標(商品、役務)、証明標章、団体標章、団体商標
(5)商標分類
国際分類を採用。 ※ニース協定には未加盟
(6)出願に必要な書類・情報
必要な書類
- ・委任状の写し
- ・【優先権を主張する場合】
優先権証明書の写し(中国語の翻訳を提出する必要がある) - ※認証/公証は不要
- ※出願日から3月以内に提出可能
必要な情報
- ・商標見本
- ・指定商品・指定役務とその区分
- ・出願人
- ・優先権主張の有無(部分優先権主張、複数の優先権主張可能)
(7)出願公開
出願公開制度はない。
(8)異議申立制度
商標登録の公告日(公告の当日を含まない)から3ヶ月以内に、何人も異議申立を行うことができる。
※異議申立の決定を下す前に、異議申立て人は当該異議申立を撤回するができるが、同一事実について同一の証拠及び理由をもって再度の異議申立て及び無効審判を請求することができない。
※異議申立を経過し、登録された商標に対して、何人も同一事実について同一の証拠及び理由をもって無効審判を請求することができない。
(9)審査
方式審査の経過後、すべての登録要件について実体審査がなされる。
(10)情報提供
出願中の商標に不登録事由を発見した時は、何人も、証拠能力のある関連資料を添付した意見書を経済部智慧財産局に提出することができる。
※審査官は、第三者から提供された意見書に添付された証拠資料を出願人に提供し、意見を述べる機会を与えなければ、当該証拠資料を拒絶査定の基礎として採用することができない。審査官は、意見書を採用するか否かについて第三者に回答する必要はなく、最終審査結果を通知する必要もない。
(11)無効審判制度
無効審判制度がある。
(12)不使用取消制度の有無
不使用取消制度がある。商標登録後、正当な理由なしに継続して3年間不使用の商標は、不使用取消審判により取り消される可能性がある。
(13)商標権の存続期間
商標登録の公告日(公告の当日を含む)から10年である(10年毎に更新可能)。
更新手続期間は存続期間満了日の前6ヶ月。
※存続期間満了日を経過しても、満了日から6ヶ月以内であれば2倍の更新料金を納付することにより更新が可能。
(14)並行輸入に対する台湾最高裁の見解 new
台湾商標法第36条第2項には「商標権の消尽」が次のように明文規定されています。
「登録商標を付した商品が、商標権者又はその同意を得た者によって国内外の市場で取引流通されたとき、商標権者は当該商品について商標権を主張することができない」
この条文は、並行輸入業者が真正品の平行輸入を合法的に行える根拠となっています。
一方、同一の商標が国内外で異なる商標権者に取得され、且つ、当該異なる商標権者との間に一定の経済上の関連性がある場合、商標権の消尽原則の適用については肯定説と否定説が存在していました。もっとも、これまで台湾では並行輸入の際は、国内外の商標権者が同一である場合に限り、商標権が消尽し、商標権者は並行輸入業者に対して権利を主張できないというのが多数の判決で取られている見解でした。
しかし、このほど、台湾最高裁は2020年1月30日の民事判決(108年台上字第397号)で次のように見解を示しました。
異なる国における商標権者に互いに許諾関係、又は法律上の関係があれば、許諾を得た商標権者に対
し、消尽の効果が生じる。
・原審の知的財産裁判所の判断に対し商標第36条第2項に規定される商標権の消尽原則が台湾の国内外
の商標権者が同一である場合のみに適用されるとして並行輸入業者に不利な判断をしたことに間違い
がある。
■ 現行の台湾商標法逐条解説に、当該最高裁の判決を受けて、上記の見解が明記されました。
以上