はじめに

サウジアラビアにて商標権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載しております。
本ページが、お客様が海外で知財保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立て下さい。

※<サウジアラビアの平均的な審査期間> ※2018年6月時点
現状では、出願から登録に至るまでの審査期間は、拒絶理由がなければ、約4ヵ月となっております。

サウジアラビアにおける商標権

※サウジアラビアは太陰暦を使用していることに注意。

太陰暦で1ヵ月は29日~30日からなり、1年は12ヵ月(354~355日)からなる。例えば、太陰暦で10年は、西暦でおよそ9年8ヵ月である。

以下で述べる月や年は、太陰暦である。

A.登録できる商標について

(1)商標の種別

  • 1)商品商標
  • 2)サービスマーク(役務商標)
  • 3)団体商標

(2)商標の保護対象

  • サウジアラビアにおける商標は、
  • 「名称、言葉、署名、文字、記号、数字、住所、印、図面、絵画、彫刻、包装、写真の要素、形、色彩の混合若しくはそれらを組み合わせたもの、又は、あらゆる視覚的標識、それらの標識の組み合わせであるか問わず、特定の形状の物であって、ある事業体の製品又はサービスを、他の事業体のものから識別するため、又は、何らかのサービス、若しくは、製品若しくはサービスの検査若しくは試験を示すために使われるものをいう。」と定義されている。
  • 音又は香りに関連する標識も、商標とみなすことができる。

B.出願から登録まで

(1)権利の発生

  • ・登録主義を採用する。
  • ・先願主義を採用する。

(2)存続期間

  • ・出願日から10年である。
  • ・10年ごとの更新可 → 申請は、存続期間満了の6ヵ月前から可能

(3)分類(商品または役務)

  • ・1出願多区分制は採用していない。
  • ・ニース協定には加盟していないものの、ニース国際分類は採用されている。
  • 但し、第33類全般、第32類のアルコール飲料、第29類の豚肉、第28類のクリスマスツリーの装飾品、第41類コンサートの組織などの商品・役務は、登録を受けることができない。

(4)出願書類(手続言語はアラビア語)

  • ①願書
  • ②商標見本(10部提出する必要あり)
  • ③委任状(署名と領事認証が必要)
  • ④優先権証明書(優先権主張の場合のみ)
  •  団体商標出願の場合は、以下の書類も必要
  • ⑤登録を求めている連合体、組合又は組織の規約の真正な写し:2部
  • ⑥製品又は役務に商標を使用する方法に関する説明書の写し等:2部

(5)審査

  • ・実体審査が行われる。
  • ・登録要件を満たさない場合、応答期間を定めた拒絶理由通知が出される。
  • ・拒絶理由通知に対して応答しなかった場合又は拒絶理由が解消しなかった場合には、拒絶されたものとみなされる。
  • ・登録要件を満たす場合又は意見書・補正書により拒絶理由が解消された場合には、出願公告がされる。

(6)出願公告

  • ・登録要件を満たす場合には、出願の内容が公告される。
  • ・公告への協力義務:商標出願が登録官により承認された場合、商標局は、商標の公告文を作成する。出願人は、登録を承認する決定の日又は上訴の請求内容を承認する商業相の決定から90日以内に当該公告文を受け取らなければならない。
  • ※出願人は、自己の費用により上記公告文を(「Um Al Qura」と呼ばれる)公報に公告し、上記公告文を受け取った日から6ヵ月以内に、公告文を掲載した新聞の写しを商標局に提出しなければならず、さもなければ出願を放棄したものとみなされる。

(7)異議申立(付与前異議申立)

  • 利害関係人は、公告日から90日以内に異議申立をすることができる。

(8)登録

  • 異議申立が期間内に行われない場合又は異議申立に理由なしとの決定がされた場合は、商標が登録される。

(9)審判・取消請求制度

  • ①拒絶査定不服審判
  • ②無効審判
  • ③訂正審判
  • ④不使用取消審判
  • (5年間不使用であれば管轄部門及び利害関係人は取消請求可)

C.GCC統一商標法の実施

  • GCC統一商標法規則が、2016年7月1日、サウジアラビアにおいて公告され、同年9月29日にGCC統一商標法が発行された。
  • これに伴い、登録料金が引き上げられた(出願料金・公告料金に変更はない)。
  • また、官報に記載された名称・住所の変更の記録の請求に際し、約135USD(約500SAR)の費用が徴収されることとなった。これは2017年1月27日から実施されることとなっており、過去の件について遡って徴収することはないとのことである。
  • また、GCC統一商標法の導入に伴い、異議申立手続が司法手続から行政手続に移行した。これにより、従来の司法手続による異議申立に比べ、費用が安価になったとされている。

D.条約

主な条約への加盟状況は以下の通り。

パリ条約WTO協定商標法条約マドプロニース協定
加盟加盟未加盟未加盟未加盟 ※

※ニース協定のメンバー国ではないが、ニース国際分類は採用している。

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    この記事の監修者

    八谷 晃典 (はちや あきのり)
    大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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