はじめに

マレーシアにて商標権の権利保護を行う際に役立つ情報を、以下に掲載しております。
本ページが、お客様が海外で知財保護を行う上での一助となれば幸いです。ぜひお役立て下さい。

※<マレーシアの平均的な審査期間> ※2018年5月時点
出願の審査結果が通知されるまで12ヶ月~18ヶ月程度。

マレーシアにおける商標権

A.登録できる商標について

(1)標章とは

  • 図案、ブランド、標題、ラベル、チケット、名称、署名、語、文字、数字、又はこれらの組合せをいう。(商標法第3条)

(2)特殊な商標

  • ・立体商標
  • ※条文上、標章として定義されていないが、2016年8月マレーシア高等法院において、立体商標が登録され得る可能性を示唆する判決がされた。
  • ・連合商標(商標法第22条、58条)
  • ・シリーズ商標(商標法第24条)
  • ・防護標章(商標法第57条、58条)
  • ・証明商標(商標法第56条)
  • ※音響、匂い、味、動く商標等の新しいタイプの商標は登録できない。

B.出願から登録まで

(1)先使用主義(商標法第25条)

  • 先使用主義を採用している。但し、先の出願日は後続の商標出願に対して先行権の推定を享受できる。

(2)存続期間(商標法第32条)

  • 出願日から10年(更新可)

(3)分類(商品または役務)(商標法第25条、商標規則第18条)

  • 1出願1区分制を採用(多区分制は不採用

(4)出願書類

  • 手続言語は英語又はマレー語
  • ①願書
  • ②宣誓書の原本(公証認証)
  • ③商標を使用する商品又はサービスのリスト
  • ④商標見本
  • ⑤委任状
  • ⑥優先権証明書(優先権を主張する場合)
  • ⑦商標の認証された翻字及び翻訳(商標がローマ字以外の表記による文字を含む場合)

(5)審査

  • ・出願後、実体審査が行われる。先行商標との関係においては、互いに6ヵ月以内に出願された類似の商標を相互引用することを審査の慣行としている。なお、6ヵ月以上前に出願された出願は先行権の推定を享受する。(フロー参照)
  • ・拒絶理由通知を受領した場合には、2ヶ月以内に応答をする必要がある。
  • ・意見書・補正書の内容が受け入れられなかった場合には、拒絶査定がなされる。決定の日から2ヶ月以内に聴取請求(面接審査)を要求することができる。

(6)審判制度

  • ①拒絶決定に対する不服申立制度(商標法第25条)
  •  高等裁判所に出訴→控訴裁判所に上訴→連邦裁判所に上訴
  •  出訴期間:決定・各判決日から1月以内
  •  
  • ②無効審判制度(商標法第45条)
  •  高等裁判所に出訴→控訴裁判所に上訴→連邦裁判所に上訴
  •  出訴期間:各判決日から1月以内
  •  
  • ③不使用取消制度(商標法第46条)
  •  対象となる商標:
  •  (a)出願日時点で「使用する善意の意思」なく出願され、不使用取消請求の
  •   1月前までに「正当な理由」なく使用されていなかった登録商標。
  •  
  •  (b)不使用取消請求の1月前までの3年間にわたり不使用の登録商標。
  •   対象となる商品・役務:指定商品・役務ごと又は登録商標の全指定商品・役務
  •   高等裁判所に出訴→控訴裁判所に上訴→連邦裁判所に上訴

(7)異議申立制度(商標法第28条)

  • 申立期間:公告から2月以内
  • 答弁書提出期間:異議申立通知受領日から2月以内
  • 答弁書不提出の効果:出願は取下げられたものとみなされる。
  • 取消決定に対する不服申立手段:決定を受けた日から1月以内に裁判所に訴えを提起することができる。

(8)特殊な制度

  • ①早期審査制度(商標法規則第18A)
  • 出願日から4月以内に請求が可能。出願から1ヵ月以内に早期審査の承認申請を行った場合、最短で出願日から7ヵ月程度で登録できる(早期審査制度を利用しない、通常の出願の場合には、出願日から12ヶ月~18ヶ月で最初のOffice Actionが発行される)。
  •  
  • ②同意書制度(商標法規則第33条、52条)
  • 出願に係る商標が他人の登録商標と同一又は類似関係にある場合、当該他人の商標権者から出願に係る商標を登録することに同意する旨を記載した書面を特許庁に提出し、審査官に拒絶理由を撤回するよう求めることができる。但し、留保型の同意書制度である。
  •  
  • ③権利不要求制度(商標法第18条)
  • 商標のある部分が識別力を有さない場合等、商標登録局長が権利不要求を要求する場合がある。

C.条約

主な条約への加盟状況は以下の通り。

パリ条約WTO協定商標法条約マドプロニース協定
加盟加盟加盟未加盟※1未加盟※2

※1.マドリッド協定議定書に加入する計画があり、現在検討中である。加入時期は未定。

※2.ニース協定のメンバー国ではないが、ニース分類を採用している。

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    この記事の監修者

    八谷 晃典 (はちや あきのり)
    大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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