1. 有名商品等を真似たパロディグッズを販売した場合

パロディも文化の発展と無関係とは言い切れませんが、やはり知的財産権侵害の可能性はあります。
パロディグッズを販売した場合、例えば商標権や著作権侵害のリスクがあります。

(1)パロディ元のロゴやネーミング等が商標登録を受けていれば、商標権侵害となる可能性があります。商標や指定商品・指定役務が類似していると認められない場合には侵害とはなりませんが、専門的な判断が必要となります。

(2)著作権法の観点からは、著作物を単に真似ただけであって独自の創作部分が全く認められない場合でも、変更されていても元の著作物の特徴が残っている場合には著作権侵害となり得ます。

2. 海賊版と気付かずに業務に使う製品を購入して使った場合

海賊版とは、著作権者の承諾を得ないで複製された製品のことをいいます。

著作物の購入およびその製品の通常の使用方法に基づく使用は、原則、著作権侵害とはなりません。ただし、プログラムの著作物については、特別な取り扱いがあるので注意が必要です。

すなわち、侵害品を購入した時点でそれが海賊版であることを知っていたときは、そのプログラムの著作物を使用する行為は著作権侵害とみなされてしまいます。よって、購入時に知らなかった場合は、後で知ったとしても自ら使い続ける限りは侵害とはなりません。

3. 市販のゲームシステムを真似て、あるいはタイトルを似せて作ったアプリを広告付きで無償提供した場合

ゲームシステムはプログラムの著作物となる可能性が高いので以下の点に注意が必要です。

①「システムを真似る」:
元のゲームシステムと同じ内容でも、内容は異なるが元のゲームシステムを少し変えただけのような場合でも、著作権侵害となり得ます。

②「タイトルを似せる」:
通常、タイトルは著作物としての保護を受けませんが、著作権法において「題号」の意に反する改変も禁止されているため、同一性保持権侵害であるとして著作権侵害となります。

③「広告付きで無償提供」:
アプリの提供はインターネット上で行われるため、不特定多数の人がアクセス可能な状況になっていると考えられます。この場合、公衆送信権侵害となります。

4.「商標侵害だ!」といわれてしまう場合

他人の商標権を侵害するとみなされるのは、例えば以下のような場合です。商標権侵害に該当すると認定された場合、差止請求が行われ、商品の販売やサービスの提供ができなくなるほか、商品の在庫を廃棄しなければならなくなったり、損害賠償を請求されるなど、大きな問題となることがあります。

事例:指定商品を「カバン」として「HARAKENZO」という登録商標が存在するときに、「HARAKENZO」という標章をいれた「カバン」を製造・販売してしまった。

商標権というものは、一度取得すればあらゆる商品・サービスについてその使用を独占できるというものではありません。商標権の効力はその指定商品・役務(サービス)によって決まります。

例えば、「HARAKENZO」という文字商標が「カバン」を指定商品として商標登録されている場合、「HARAKENZO」という標章を入れた「カバン」を製造する行為は、商品に商標を付する行為として、商標権の侵害行為となります。

これに対して、「カバン」とは全く関係のない(類似しない)コップやお皿等に「HARAKENZO」という標章を入れて製造・販売したり、そのコップやお皿が喫茶店で使用されていても、「HARAKENZO」が上記商標についても、商標登録を受けていない限り商標権侵害とはなりません。

つまり、商標権の登録を受ける際には、商標の使用をする商品や役務をあらかじめ指定しておかなければならず、指定された商品・役務と無関係に登録商標またはこれに類似する商標を使用することは商標権侵害とはなりません。

ただし、その商標が特定の人(団体)の商品や営業等の表示として有名である場合、不正競争防止法に違反するという可能性がありますので、注意が必要です。

この記事の監修者

八谷 晃典 (はちや あきのり)
大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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