はじめに

書籍・雑誌は、生活に非常に身近な商品です。近年、スマートフォンで見ることができる電子書籍も登場し、通勤・通学の時間に書籍・雑誌を読むことが容易となり、私たちの生活に益々身近になっていると言えます。

また、各種教育業(塾、英会話スクール、専門学校等)においても、テキスト・教材が広く使用されており、こちらも近年では電子化が進んでおります。

書籍・雑誌と、教育の現場で使用されるテキスト・教材は、商標登録の観点からは、実は異なる商品/役務として分類される可能性があります。

書籍・雑誌業界に関連する皆様において、商標登録を行う上で役立つ情報を知って頂きたく、このようなページを設けた次第です。

「書籍」の題号について

「書籍」の題号は、一般的には商標登録は出来ず、仮に商標登録が出来たとしても、書籍の題号として使用する行為に対し、商標権の効力は及ばないと考えられています。

例えば「考える力」(サラリーマンの実務のヒントが話題)という書籍の題号が商標登録された場合、他の著者が「考える力」(スポーツにおける技のヒントが話題)を書籍の題号に使用することが出来ないとなると、著者は常に他人の商標登録の存在を確認した上で、書籍の題号を選定する必要が出てきます。これは、著作権が創作時に自然発生する性質の権利であることを鑑みると、著者に過大な負担を強いることに繋がります。

「雑誌」のタイトルについて

雑誌は週刊誌、月刊誌と数多くございますが、雑誌のタイトルは商標登録の対象となり得ます。先に述べた書籍の題号と、雑誌のタイトルでなぜ扱いが違うかというと、異なる内容が定期的に発行されるかどうか、という点で異なるからです。

例えば、月刊誌は1月号と2月号で内容が異なり、また、定期的に発行されます。月刊誌を購入する読者は、このように内容が不確定な雑誌であっても購入を継続します。何故なら、「また読みたい」という思い(雑誌に対する信頼)が蓄積しているからです。

これは、例えば商品「飲料」を購入する際も同じことが言えます。飲料の中身は少しずつ変化を遂げているかも知れませんが、「また飲みたい」という思い(飲料に対する信頼)が蓄積していると言えます。

この商品に対する信頼を保護するのが商標権であり、目当ての商品を見つけ出す指標として、飲料の名称や雑誌のタイトルは商標としての機能を持っているのです。

尚、書籍であっても、雑誌のタイトルと同じく商標登録の対象となる場合があります。それは、例えば連載漫画の題号です。

連載漫画は第1巻と第2巻は異なる内容ですし、定期的に発行されます。そのため、雑誌と共通する点があることから、連載漫画の題号は商標登録の対象となり得ると考えられます。

テキスト・教材に使用される商標について

塾で使用するテキスト・教材は、授業を行う際に使用されています。塾での授業のように知識を与える役務は、主に第41類で登録することになっています。

では、塾で使用するテキスト・教材は、どの区分で登録するのでしょうか。

テキスト・教材自体は第16類の商品に該当しますが、このように知識を与える役務に付随して配布される場合、第41類の登録で足りると考えられております。

一方、知識を与える役務とは独立して、テキスト等が商品として単体でも流通する場合には、第16類の商品としての登録も必要となります。

電子書籍について

近年では電子書籍は数多く流通しており、主にスマートフォンやタブレットで読まれている方も多いものと存じます。

同じ内容の書籍であっても、従来の紙の書籍は第16類の商品「印刷物」の概念に入ります。一方、スマートフォンやタブレットでダウンロードして読む電子書籍は、第9類の商品「電子出版物」の概念に入ります。

尚、ダウンロードが不可能な電子書籍の場合(例:インターネット上で読む事だけが可能な電子書籍)には、第41類の「電子出版物の提供」の登録が必要です。

”HARAKENZO more ” は書籍・雑誌業界の皆様を応援します

書籍・雑誌は、生活に非常に身近な商品であり、世代・性別関係なく、万人に幅広く購入されている商品です。

”HARAKENZO more としても書籍・雑誌業界の皆様の知的財産保護にお役立ちしたいと考えておりますので、まずは、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

この記事の監修者

八谷 晃典 (はちや あきのり)
大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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