はじめに

美容は、化粧品をはじめマッサージ・サプリメントなどにより、「より美しく、より健康にありたい」という希望を実現し、私たちの生活をより良いものとしてくれる非常に大切なものです。

こうした美容におきましては、消費者からのイメージや信頼、すなわちブランドというものが非常に大切でございます。

商標はまさに、そうしたブランドを保護するのに最適な権利です。私どもは、是非、美容業界の皆様に、商標の身近さを意識し、商標登録を行う上で役立つ情報を知って頂きたく、このようなページを設けた次第です。

役務と商品の区別

美容といいますと、一般的には美容室関連サービス、化粧品関連サービス等をイメージしますが、その他にもエステ、スポーツジム、ヨガおよび温浴療法(ゲルマニウム温浴等)など、美容というキーワードに関連し、1つのカテゴリーの中に、商品を表すものやサービス(役務)を表すものが混在していることがわかります。

商標法では、メイクやマッサージを行う「役務」に関連する標識と、その役務提供の際に用いられる化粧品等の「商品」に関連する標識とを区別した上で保護がなされています。

ですから、美容業界の皆様には、自らの提供するものが、役務であるか商品であるかの区別に注意していただき、商標取得の検討をしていただきたく思います。

以下、美容に関する役務と商品について、商標との関係を順にご説明いたします。

美容サービス(役務)について:美容院・マッサージなど

美容室でカットやメイクを行ったり、エステでマッサージを行ったり、入浴施設を提供したりする場合は、役務にあたります。

この場合は、当該美容室や入浴施設の店舗名称、あるいは当該マッサージ手法に独自の名前が付けられている場合にはその名称などについて、第44類の区分で登録を行います。

また、こうした役務の方法(マッサージ手法など)を指導し教授する教室を運営される場合には、「知識の教授」として第41類の区分で登録を行います。第41類はその他、スポーツと関わる区分でもあり、心身を鍛え、美容効果を得ることができるスポーツジムは「運動施設の提供」という指定役務により、第41類の区分で登録を行うこととなります。 ちなみに、知識の教授として第41類の区分登録を考える場合、注意しなければならない点がございます。それは、サービス内容が指導や教授には至らず、美容に関する情報の提供・助言を行うにとどまる場合は、第41類ではなく、第44類の区分で登録を行うことになっている点です。

ある役務について、それが知識の教授であるか、情報の提供であるかという判別には画一的な基準があるわけではなく、具体的事案ごとの柔軟な分析が必要となる場面も多々ございます。区分を違えた出願は後々のトラブルの種となりえますから、専門的な意見を踏まえた上で慎重に判断なされるべき点の一つかと思います。

なお、こうしたサービスの手順や方法(マッサージ手法など)のそれ自体を商標で保護することはできませんのでご注意ください。商標として保護が可能なのは、あくまで商品・役務の標識に限られます。

美容商品について:化粧品・サプリメント・ヘアドライヤーなど

①化粧品について

美容商品の代表である「化粧品」は、第3類の区分で登録を行います。第3類に属する他の商品としては、「香料」「つけづめ」「つけまつ毛」等が挙げられます。

次に、美顔に着目してみましょう。パック商品は第3類の区分で登録され、化粧品との関連性がうかがえます。しかし、美顔といっても他にも様々な商品がございます。美顔ローラーの場合は、「マッサージ器」として、第10類の区分に属する可能性がある他、「家庭用手動式美容マッサージローラー」としては、第21類の区分に属します。さらに「まつ毛」に着目すると、「つけまつ毛」は第3類、「まつ毛カール器」は第8類、「まつ毛用ブラシ」は前記マッサージローラーと同じ第21類という区分に属することがわかります。

②サプリメントについて

サプリメントのような薬剤に類する商品は、第5類の区分で登録を行います。第5類に属する他の商品としては、「食餌療法用飲料」「食餌療法用食品」等が挙げられます。

また、「入浴剤」のように、同じ商品ジャンルの中でも、第3類の区分で登録すべき場合と第5類の区分で登録すべき場合とが混在する商品もあります。その入浴剤が、例えば、芳香を特徴とするならば第3類に属すると評価すべきですし、薬効を特徴とするなら第5類に属すると評価すべきです。このような場合も出願区分を吟味すべき一例といえましょう。

③ヘアドライヤー等について

最後に、髪のお手入れに関わる商品としましては、ヘアドライヤーが「美容院用又は理髪店用の機械器具」や「美容用又は衛生用の家庭用電熱用品類」として第11類で登録が行われます。美容院などの業務用の場合も家庭用の場合もどちらも同じ第11類で登録されていますが、類似群コードが異なります。「美容院用又は理髪店用の機械器具」には「09E25」、「美容用又は衛生用の家庭用電熱用品類」には「11A07」というコードが割り当てられて、それぞれ区別されています。

さらに、ヘアアイロンが第8類で登録されています。

この他にも、エクササイズやフィットネス用の機器が第28類に属します。

”HARAKENZO more ” は美容業界の皆様を応援します

 近年、消費者の低価格志向などから、美容市場内での顧客獲得競争は激しさを増しており、美容業界の皆様の商品やサービスを守りブランドを支えるものとしての商標の重要性がますます高まっております。

”HARAKENZO more としても美容業界の皆様の知的財産保護にお役立ちしたいと考えておりますので、まずは、お気軽にご相談頂ければ幸いです。

この記事の監修者

八谷 晃典 (はちや あきのり)
大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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