®、TMってどういう意味?

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1.「Rマーク(®)」とは何か?

 Rマーク(®)は、アメリカの商標制度において、Registered Trademark symbol=商標がすでに連邦登録されていることを示す正式な商標登録表示です。商標の右上か右下に小さく表示するのが一般的です。

 Rマークは、表示せずにアメリカで商標使用していると、他人による無断商標使用の損害賠償請求などが難しくなる場合もあります。

 一方、日本においては商標法に基づく正式な商標登録表示ではなく、表示義務もありません。

 日本における正式な商標登録表示は、『登録商標第〇〇〇〇〇〇〇号』と規定されています。こちらも表示の努力義務としては規定されていますが、罰則があるわけではありません。

登録商標第5737327号

 このように日本においてRマークの表示は法に基づいた正式なものではありませんが、登録商標であることを示すものとして事実上認識することができ、『登録商標第〇〇〇〇〇〇〇号』よりシンプルな表示であるため、慣習的によく使用されています。

2.「TMマーク(™)」とは何か?Rマークとの違いは?

 TMマーク(™)とは、Trademark =商標を意味します。

 登録商標のみに表示可能なRマークと違い、TMマークは登録の有無に関わらず商標に表示できますが、一般的には未登録の商標に使用します。

TM

 Rマークは未登録の商標に使用すると虚偽表示とみなされ刑事罰の対象となるため、出願中で登録には未だ至っていないが商標であることを示したい場合などにも、TMマークは過渡的に使用されたりします。

3.なぜ「Rマーク(®)」「TMマーク(™)」を使用するのか

 日本においてRマークまたはTMマークを表示する主な理由として、商標であることを見た者に事実上認知させ他人の使用を牽制するためと、普通名称化を防ぐための2つが考えられます。

 他人による商標使用の牽制になることはすぐにご理解いただけると思いますが、普通名称化防止について少しご説明します。

 まず、前提として、その商品やサービスを指す一般的な名称のみ(例えば、商品「お茶」に“TEA”やサービス「貨物車による輸送」に“カーゴ”など)では基本的に普通名称であるとして商標登録は認められません。一方、商標登録時には一般的な名称ではなかったものの、複数の事業者による使用によって広く世間に認知された結果、誰のものか出所がわからなくなり普通名称化してしまうということが起こり得ます。たとえば、「エスカレーター」や「ホームシアター」、「ホッチキス」などは当初は各企業の固有の商品名であったものが、いつのまにかどの企業の商品に対しても使われるようになって一般化してしまいました。また、登録商標であるにも関わらず、提訴した裁判所で普通名称化したと判断された事例も複数あり、「正露丸」や「巨峰」などがその有名な例となります。

 登録商標が普通名称化したと判断されると、無断使用を禁止するなどの権利行使をすることができなくなります。そのため、普通名称化を防ぐ目的の一環として、「この名称は一般的な名称ではなく、商標として使用していますよ」ということを世間に明示するために、RマークまたはTMマークを自らの使用時にはもちろんのこと、第三者による商品紹介や論文記載がされる場合などに表示するよう喚起する場合があります。圧倒的な市場占有率と認知度を誇る商品・サービスであればあるほど、特に第三者への喚起による普通名称化防止策は怠ってはいけないものと考えられています。