商標と聞くと、多くの方が商品名やサービス名、あるいは企業のロゴを思い浮かべることでしょう。しかし、商標の世界はこれらにとどまらず、さまざまな形態が存在します。日本国内で認められている商標の種類を、わかりやすくご紹介します。

立体商標:三次元の世界へ

立体商標は、その名の通り、立体的な形状を持つ商標です。これには、商品の容器やパッケージなどが含まれます。例えば、特定の形状のボトルやキャラクターの人形などがこれに該当します。ただし、単なる案内標識としての機能を持つものは除外されることが多く、商品自体やその包装の形状に関連する商標は、使用によって顕著な識別力が認められる必要があります。

色彩のみの商標:色で語るアイデンティティ

色彩のみから成る商標は、単一色または複数色の組み合わせで構成されます。特定の色が商品やサービス、企業を象徴する力を持つ場合、これも商標として認められる可能性があります。しかし、色彩だけの商標は登録のハードルが高く、2020年5月時点で単色のみの商標はまだ存在していません。

≪登録例

音商標:聞こえるアイデンティティ

音楽、音声、自然音など、聴覚に訴える要素から成るのが音商標です。テレビCMや動画サイトで耳にするような、印象的なジングルやサウンドロゴがこれに該当します。音商標の出願には、五線譜による記述や音声ファイルの提出が必要です。

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動き商標:動くアイデンティティ

動き商標は、時間の経過と共に変化する文字や図形などの商標です。例えば、アニメーション化された企業ロゴや動く看板などがこれにあたります。出願時には、動きの詳細な説明と共に、図や写真の提出が求められます。

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ホログラム商標:変化するアイデンティティ

ホログラム商標は、視点や温度の変化によって見え方が変わる文字、図形、色彩などです。動き商標と同様に、変化の前後の状態を明確に示す必要があります。

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位置商標:位置で示すアイデンティティ

位置商標は、商品やサービスに関連する物体に特定の位置に配置される文字や図形などです。これを特定するためには、実線と破線を用いた図や詳細な説明が必要となります。

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キャッチフレーズ:言葉によるアイデンティティ

キャッチフレーズは、従来は商標として認められにくい傾向にありましたが、2016年の審査基準改定により、企業の理念やメッセージを端的に表すフレーズも商標として登録される可能性が出てきました。

これらの多様な商標の種類を理解することで、企業や製品のアイデンティティをより豊かに表現する道が開かれます。商標は、単なる名前やロゴ以上のものとして、ビジネスの世界で重要な役割を果たしているのです。

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この記事の監修者

八谷 晃典 (はちや あきのり)
大阪法務戦略部長 弁理士/特定侵害訴訟代理人 スペシャリスト

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